葬儀場・火葬場近くの不動産が売却価格に与える影響とは?デメリットも解説

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葬儀場・火葬場近くの不動産が売却価格に与える影響とは?デメリットも解説

不動産のなかには買主が付きにくいケースがあり、そのひとつは葬儀場・火葬場近くの物件です。
しかし、それらの物件がなぜ売れにくいのか、具体的な理由を知る方は少ないでしょう。
そこで今回は、不動産売却で葬儀場・火葬場近くの場合に売却価格に与える影響やデメリットとともに、売却時のコツを解説します。

不動産の近くに葬儀場・火葬場がある場合に売却価格に与える影響

不動産の近くに葬儀場・火葬場がある場合に売却価格に与える影響

葬儀場・火葬場は、環境的瑕疵に該当するため注意しなければなりません。
環境的瑕疵とは、物件周辺に嫌悪施設が存在している状態のことです。
不動産近くにあると嫌悪感や不快感を抱くおそれのある施設で、葬儀場・火葬場の他に高速道路や暴力団事務所などが挙げられます。
これらの施設が不動産の近くにあるときには、売却で告知義務を果たさなければなりません。
状況によっては、売却価格が下がる可能性もあるので注意が必要です。
葬儀場・火葬場近くの不動産がどの程度の価格となるのか、2つのパターンを見ておきましょう。

葬儀場・火葬場が隣接しているケース

売却予定の不動産が葬儀場・火葬場に隣接しているケースでは、売却価格が20〜30%ほど下がります。
これは購入希望者が心理的な抵抗感を抱きやすいのが理由であり、そのような物件は購入を敬遠されがちです。
売却しても、なかなか買主が付かなかったり、売却価格を下げられてしまったりするので注意しましょう。

葬儀場・火葬場が近くにあっても立地条件が良いケース

葬儀場・火葬場が近くにある不動産でも立地条件が良ければ、価格への影響は少なく済みます。
とくに、葬儀場は老若男女問わず集まる場所です。
近くにスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどがあるケースも多く、利便性に長けています。
そのような物件では、生活環境のメリットが上回ると考えられるため、葬儀場・火葬場が近くにあっても価格を気にせずに売却できるでしょう。
環境的瑕疵物件の価格は状況によって異なるので、売却前に査定などで確認しておくことをおすすめします。

葬儀場・火葬場近くの不動産を売却する際のデメリット

葬儀場・火葬場近くの不動産を売却する際のデメリット

葬儀場・火葬場近くの不動産を売却すると、さまざまなデメリットが生じる可能性があるので注意しなければなりません。
デメリットをそのままにしておくと、不動産売却で損をするなど失敗してしまうでしょう。
効率良く不動産売却を進めるためにも、主なデメリットを3つ押さえておく必要があります。

デメリット①買主とのトラブルにつながりやすい

葬儀場・火葬場が近い不動産の売却は、買主とのトラブルにつながりやすいことがデメリットです。
売却前に心理的瑕疵の内容をきちんと伝えていないと、後から事実を知った買主から損害賠償を請求されたり契約解除を要求されたりするおそれがあります。
不動産売却時には重要事項説明をおこなうため、そのときに不動産の瑕疵を漏れなく伝えなければなりません。
買主とのトラブルを未然に防ぐには、売主自身が不動産の状況を把握しておく必要があります。
周辺環境はもちろん、建物の劣化具合などもあわせて確認しておくと良いでしょう。

デメリット②建設規制によっては宅地として売却できない

都市計画では、土地の用途がそれぞれ決められています。
とくに火葬場は宅地として利用できない区域に建てられるケースが多く、建設には都道府県知事や自治体の許可が必要です。
そのため、近くにある土地も宅地として利用できない可能性があります。
このような建設規制によって売却を断られるおそれもあるので注意しなければなりません。
なお、葬儀場は「集会場」として扱われるのが一般的です。
住宅地でも葬儀場の建設が可能となっており、周辺地域の土地も宅地として売却できます。

デメリット③買主が現れにくい可能性がある

葬儀場・火葬場近くの不動産は、買主がなかなか付かないのが現状です。
火葬場や葬儀場は「死」に関連する施設であるため、それらの施設が近くにあるといった事実に抵抗を抱く方が多いでしょう。
交渉次第では、他の物件より価格が下がる可能性もあるので注意しなければなりません。
どの程度価格が付くかは状況によって異なりますが、規模が大きな葬儀場だったり霊柩車が頻繁にとおったりするケースでは大幅な下落を覚悟しておく必要があります。
これらの事情は買主の気分を落ち込ませる要因ともなるため、売却時には購入者のケアが重要です。
「霊柩車がとおらない」「参列者が多くない」など、買主を安心させるポイントを伝えておくと、スムーズに売却できる可能性が高まるでしょう。

葬儀場・火葬場近くの不動産をスムーズに売却するコツ

葬儀場・火葬場近くの不動産をスムーズに売却するコツ

葬儀場・火葬場近くの不動産はそのまま売っても買主が現れにくいので、あらかじめコツを押さえておくことが大切です。
心理的瑕疵物件を売却するときには、以下のポイントを押さえておくと良いでしょう。

コツ①価格を下げて売却する

葬儀場・火葬場近くの不動産は、相場より価格を下げて売却するのがコツです。
ただし、売り出し価格を一度下げてしまうと、元の価格に戻すのは容易ではなくなります。
少しでも高い金額で売りたいときは、一般的な価格から徐々に下げていく方法がおすすめです。
価格の設定時は交渉による値下げも考慮する必要があるので、まずは10%程度から安くしていくのが良いでしょう。
心理的瑕疵が大きいからといって大幅に値下げをしてしまうと、価格交渉で不利になる可能性があります。
不動産は相場より高過ぎても安過ぎても買主が付きにくくなるため、その物件に合った適正相場を設定することが重要です。

コツ②心理的瑕疵を気にしない購入希望者に売却をアピールする

葬儀場・火葬場近くの不動産をスムーズに売却したいなら、心理的瑕疵を気にしない購入希望者を探す必要があります。
売却期間よりも高く売ることを重視している方は、そのままの状態で不動産を売るのが良いでしょう。
立地条件などが良ければ、買主が現れるスピードも早まるため、売却でアピールすることをおすすめします。
たとえば、駅から近い物件や設備が充実している物件は、生活環境のメリットが大きいので、購入希望者が早い段階で現れるはずです。
葬儀場・火葬場近くの不動産を売却予定の方は、物件にアピールポイントがないか条件を見直してみると良いでしょう。

コツ③土地として売却する

不動産が葬儀場・火葬場の近くにあるときは、土地として売ることを検討してみてください。
宅地として売却できないときの代替案にもなるため、あらゆるケースで活用可能です。
駐車場や賃貸物件の経営などさまざまな土地活用ができるので、買主も付きやすくなるでしょう。
注意点として、建物が残っているケースでは、解体費用や整地費用を売主・買主どちらが負担するか、事前に話し合わなければなりません。
状況によっては、売主が解体費用を支払うといったケースがあり、負担が大きくなってしまう可能性があります。
建物を取り壊してから売却するときは、解体費用を回収できるかどうか検討してから売りに出すのがポイントです。

まとめ

一般的に葬儀場・火葬場近くの不動産は売却価格が20〜30%ほど下がりますが、立地条件が良ければ価格への影響はほとんどありません。
葬儀場や火葬場は心理的瑕疵に該当するため、買主とのトラブルにつながったり建設規制を受けたりする可能性があるでしょう。
ケースによっては買主が現れにくいので、価格を下げるなど対策しながら売却するのがコツです。


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