事故物件を解体するメリット・デメリットを説明!必要な費用はどれくらい?

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事故物件を解体するメリット・デメリットを説明!必要な費用はどれくらい?

所有している物件が事故物件になってしまった場合、その処分方法に悩む方は多いではないでしょうか。
解体を検討する際には、さまざまな疑問や不安が生じることもあります。
そこで、事故物件を解体する際のメリット・デメリットや、必要な費用についてわかりやすく説明します。

事故物件を解体するメリット

事故物件を解体するメリット

事故物件とは、不動産業界で「心理的瑕疵のある物件」と呼ばれるものです。
瑕疵とは、法律用語で契約上の不備を意味し、不動産では住宅の欠陥やキズなどを指します。
そのなかでも「心理的瑕疵」とは、物理的な問題はなくても精神的な理由から、購入や入居を敬遠される要素のことです。
以下のような事例は、心理的瑕疵があるとされ、「事故物件」として扱われることが多くなります。

●殺人事件や自殺が発生した場所
●火災や水害で人が亡くなった場合
●自然死後、遺体が長期間放置され、特殊清掃が必要だったケース


事故物件を解体し、更地にしても「過去に事故があった」事実は消えません。
そのため、物件を売却する際には、契約前に事故の事実を告知する義務があります。
これを怠ると「告知義務違反」として法的責任を問われる可能性があるので注意が必要です。
では、事故物件を解体するには、どのようなメリットがあるのでしょうか。

メリット①購入への心理的ハードルを下げる

事故物件を解体することで、物件に対する悪いイメージが和らぎ、購入を検討する方が増えることが期待できます。
事故物件として残っているよりも、土地だけの方が買い手にとって、心理的負担が軽減されるためです。
「事故物件に住むのは避けたいが、その土地に新しい家を建てることには問題がない」と考える方もいます。
解体により購入希望者が増えるのは、明確なメリットといえます。

メリット②多様な活用方法が可能になる

事故物件を更地にすることで、その土地を駐車場や賃貸物件として活用する選択肢が広がります。
とくに、駐車場やコインパーキングの場合、利用者が過去の事故を気にするケースは少なくなります。
また、賃貸物件として提供する際も、購入より心理的な負担が軽くなるため、借り手が見つかりやすくなるでしょう。
このように、事故物件を解体し新たな用途で運用することで、利用促進や収益化につなげることができます。

事故物件を解体するデメリット

事故物件を解体するデメリット

事故物件の解体には、心理的な負担の軽減や売却のしやすさといったメリットがあります。
しかし、高額な工事費用や固定資産税の増加、相続制限、再建築の難しさなどのデメリットも伴います。
解体するかどうかの判断には、両方の側面をしっかり把握することが重要です。
続いて、事故物件を解体するデメリットを説明します。

デメリット①解体工事費用と固定資産税の負担

解体工事には高額な費用がかかり、建物の規模によっては数百万円から数千万円に達することがあります。
さらに、住居があった土地を更地にすると、固定資産税の優遇措置が受けられなくなり、税負担が増えることも問題です。
住宅用地は、200㎡以下の部分は固定資産税が6分の1、200㎡を超える部分は3分の1に軽減されます。
更地になると、住宅用地として扱われなくなるため、この優遇措置は受けられません。
解体した土地をすぐに売却できたり、別の用途で収益を確保できる見通しがあれば問題ありません。
しかし、売れ残った場合、維持費や固定資産税が重くのしかかります。
事前に土地の用途や売却計画を立てておくことが必要です。

デメリット②解体による相続放棄の制限

事故物件を解体してしまうと、相続放棄ができなくなるというデメリットがあります。
建物の解体は「財産の処分」と見なされるため、相続放棄の条件を満たさなくなってしまうからです。
そのため、相続放棄を予定している場合は、解体工事をおこなうべきではありません。
さらに、配偶者や子どもへの負担を避ける目的で解体する場合も注意が必要です。
解体後に相続放棄ができなくなると、不要な負担を抱える可能性があります。
先を見通したうえで、解体の判断をおこなうことが重要です。

デメリット③建て替えができないリスク

事故物件を解体した後、再建築ができないケースがあることも考慮しなければなりません。
とくに、現在の建築基準を満たしていない「再建築不可物件」の場合、新しい建物を建てることが認められないでしょう。
たとえば、土地が幅4m以上の道路に2m以上接していなければならない「接道義務」を満たしていない場合、その土地には新築ができません。
建築基準は時代に合わせて変更されるため、昔は合法だった土地が、今では基準を満たさないこともあります。
解体後に建て替えを検討している場合、事前に現在の基準を確認することが欠かせません。
基準に適合していないと、活用方法が制限され、土地を持て余すリスクがあります。

事故物件を解体するときの費用相場

事故物件を解体するときの費用相場

事故物件の解体には、さまざまな費用がかかります。
建物そのものの解体費用だけでなく、庭木や塀などの付帯部分の撤去、さらには廃材の処分費用も考慮しなくてはなりません。
費用を抑えるためには、事前に不用品を処分し、自治体の助成金制度を活用することが効果的です。
最後に、それぞれの費用の目安と解体時のポイントを説明します。

建物の解体費用

建物の構造と大きさによって解体費用が変わります。
以下は、一般的な建物の構造ごとの解体費用の相場です。

●木造住宅:1坪あたり2~4万円
●鉄骨造:1坪あたり3~4万円
●鉄筋コンクリート造:1坪あたり4~6万円


木造住宅の解体では、総額で100万~400万円程度が目安です。
建物が大きくなるほど作業範囲も広がるため、解体費用は増加します。

建物以外の撤去費用

事故物件の解体では、建物だけでなく付帯する構造物の撤去費用も発生します。
以下がその一例です。

●ブロック塀:1㎡あたり5千円~1万円
●庭木の伐採:1~5万円
●倉庫・物置の撤去:2~3万円
●門や扉の撤去:約2万円


これらの付帯部分を事前に処分することで、解体工事のコストを抑えることができます。

廃材の処分費用

解体時に発生する廃材は、産業廃棄物として適切に処理しなければなりません。
廃材の種類ごとの処分費用の目安は以下のとおりです。

●木くず:1㎡あたり5千円〜
●石膏ボード:1㎡あたり1万3千円〜
●タイル・カーペット:1㎡あたり2万7千円〜
●レンガ:1㎡あたり2万7千円〜


ただし、リサイクル可能な廃材が含まれている場合、処分費用を削減できることもあります。
見積もりの際には、リサイクル可能な廃材について確認しておくと良いでしょう。

解体費用を抑えるポイント

事故物件の解体費用を少しでも減らすためには、工事前に可能な限り不用品を処分しておくことが効果的です。
たとえば、庭木をあらかじめ伐採しておくことで、撤去費用を削減できます。
また、室内の家具や家電も事前に処分しておくとよいでしょう。
さらに、一部の自治体では解体工事に助成金を提供している場合もあります。
助成金の申請条件は自治体ごとに異なるため、事前に確認することがおすすめです。

まとめ

事故物件の解体には、心理的負担の軽減や購入希望者を増やす効果があり、土地を駐車場や賃貸物件として活用することも可能です。
しかし、解体には高額な工事費用や固定資産税の増加、相続放棄ができなくなるなどのリスクが伴います。
また、再建築不可物件は建て替えができないため、先を見通したうえでの判断が必要です。


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