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空き家の固定資産税増税とは?6倍になる流れと対策を解説

コラム記事

空き家の固定資産税増税とは?6倍になる流れと対策を解説

「空き家を放置すると税金が高くなるって本当?」と不安を抱いている方は多いでしょう。
2023年に空家対策特別措置法の一部が改正されたため、誰も住んでいない家を放置していると、知らぬ間に納税額が高くなる可能性があるため注意が必要です。
本記事では、空き家の固定資産税増税についてお伝えしたうえで、6倍に膨れる流れと対策を解説します。

空き家の固定資産税増税について

空き家の固定資産税増税について

空き家の固定資産税が増税されるというニュースを見た方も多いでしょう。
2023年3月に空家等対策の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案が提出されて、2023年6月に参議院本会議にて可決され、2023年6月14日に改正されました。
この改正によって、特例措置を解除された対象物件の固定資産税が高くなります。

固定資産税と都市計画税とは

そもそも土地や建物を所有している方は、固定資産税と自治体ごとに異なる都市計画税の支払いが義務です。
固定資産税は評価額の1.4%、都市計画税は自治体が決めた最大0.4%を掛け合わせて算出します。
ただし、居住用物件として所有している土地に対しては、固定資産税と都市計画税の減税措置が適用されていました。
減税措置の内容は、固定資産税は小規模住宅用地が課税標準×1/6×1.4%、一般住宅用地が課税標準×1/3×1.4%、都市計画税は小規模住宅用地が課税標準×1/3×0.3%、一般住宅用地が課税標準×2/3×0.3%です。
誰も住んでいなくても居住用住宅が建っている土地は、減税措置が適用されているので、税額を安く抑えられていました。
しかし、このような減税措置を理由に、相続した土地や建物をとりあえず所有しておこうと考える方が増えてしまい、管理不足による倒壊リスク・衛生問題・治安の悪化などの問題に発展していました。

空家等対策の促進に関する特別措置法を改正するに至った背景

空家問題を深刻に捉えた日本政府は、2015年に空家対策特別措置法を施行して、特定空家に該当する物件に対する減税措置が適用されない規定に変更しています。
特定空家とは、倒壊や著しく保安上危険となる状態や著しく衛生上有害な状態、適切な管理がおこなわれておらず景観を損なっている、周辺の生活環境の保存を図るために放置するのが不適切な状態を指します。
このように危険な状態にある物件が該当しており、すべての空き家が減税措置の適用外になるわけではありません。
とはいえ、2022年の時点で特定空家に指定されている物件は2万件に上り、自治体が把握できないだけで特定空家に指定される可能性の高い物件は約50万件といわれています。
この現状を踏まえて、特別措置法の一部を改正する法律案が可決されて、放置すると特定空家になる恐れのある物件も減税措置適用外の条件に含まれるようになりました。

空き家の固定資産税が6倍になる流れについて

空き家の固定資産税が6倍になる流れについて

2023年3月に提出された空き家等対策の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案が、同年6月に参議院本会議で可決されて、空き家の対象範囲が広がりました。
以前までは、特定空家に該当する物件のみだったのが、現在は放置すると特定空家に該当する恐れのある物件が、管理不全空き家として対象に含まれるようになっています。
管理不全空き家は、窓が割れている物件や雑草が生い茂ったまま放置されている物件が対象です。
固定資産税が6倍に膨れ上がる可能性がある減税措置の解除ですが、該当物件に指定されたからといって、すぐに減税解除されるわけではありません。
倒壊や近隣トラブルに発展するリスクの高い物件として見なされると、指定・助言と指導・勧告・命令・行政代執行の5つの流れで行政からの通知がおこなわれます。

空き家の固定資産税が6倍になる流れ

まず、リスクがあると判断されると、特定空家もしくは管理不全空き家に指定されて、適切な管理をするように行政から助言と指導があります。
この通知を無視すると、勧告と命令が立て続けに通知されて、徐々に行政の取り締まりも厳しくなっていくので、できるだけ早く対応するべきです。
命令までの通知をすべて無視して、該当物件を管理する意思表明をしなければ、最終的に行政代執行といって所有者の代わりに建物を解体する作業をおこないます。
「住む予定がなかったら解体してもらえたら助かる」と考える方もいますが、解体費用は所有者に請求されるので、数百万円単位の支払いが突然発生する可能性があります。
金銭的な余裕がないからといって支払いを拒否した場合、そのまま競売にかけられるため、土地の所有権を失う事態に陥りかねません。
所有している土地や建物の管理方法に悩んでいる場合は、役所に相談すると状況に応じて、さまざまな対処法を教えてくれたり、助成金の案内をしてもらえたりします。

減税措置が適用されなくなるとどうなるのか

「減税措置が適用されなくなるのはいつから?」と気になっている方も多いですが、結論として特定空家に指定された翌年からが対象です。
物件タイプによって減税措置が適用される金額は異なりますが、小規模住宅用地で課税標準×1/6×1.4%が適用されている場合は最大6倍まで増税されます。
さらに、地域ごとに減税措置が適用されていた都市計画税も減税措置が解除されるので、通常通りの納税額を支払わなければならず、大きな負担になるでしょう。

空き家の固定資産税の増税を回避する対策について

空き家の固定資産税の増税を回避する対策について

空き家の固定資産税の増税を回避する対策方法として、すぐに売却する、修繕やリフォームをする、建物を解体して更地にする方法が有効です。

土地と建物を同時に売却する

まず、誰も住む予定がなくて貸し出す予定もなければ、土地と建物を同時に売却する方法を検討してみると良いでしょう。
土地や建物を所有し続けていると、税金だけではなく管理費も定期的にかかり、大規模修繕が必要になれば高額な修繕費も必要です。
相続した土地や建物が空き家の状態で放置されていて、誰かが住んだり賃貸として貸出していなければ、3,000万円の基礎控除が適用される可能性があります。
適用期間は、相続開始から3年後の12月31日までとなっているので、できるだけ早めに売却するかどうかを決断するのが良いでしょう。

修繕やリフォームをする

続いて、行政から特定空家もしくは管理不全空き家の指定を受けたのであれば、できるだけ早く指示に則り、修繕やリフォームの作業に取り掛かってください。
非常に危険と判断されている箇所を改善すれば指定を解除できるので、税金の減税措置が従来通りに適用され続けます。
行政から助言や指導を受けたときにリフォームをすれば、自分たちが住んだり、第三者に貸し出したりするなどのように選択肢も広がります。
あとから売却をすると決めても、放置された状態の物件よりも、リフォームや修繕されたあとの物件のほうが購入希望者を見つけやすいです。
修繕をすれば、税金の減税措置が適用され続けるだけではなく、貸し出すことで不動産事業の経費として計上できるので、結果的に節税効果も期待できます。

建物を解体して更地にする

最後に、増税をなくす目的とは少しずれてしまいますが、固定資産税をゼロにするために、建物を解体して更地にする方法を検討すると良いでしょう。
地域によっては、建物が建っていると使い勝手が悪いですが、更地の状態であれば駐車場や作業場などの目的で、賃貸・売却の需要が高まるケースも多いです。
誰も住んでいない建物の解体費用に対して助成金や補助金を出している自治体もあるので、解体費用が高くても金銭的な負担を軽減できる場合もあります。

まとめ

相続で取得した土地や建物を放置すると、倒壊リスクや景観が悪くなって、近隣トラブルになるなどの問題に発展しやすいです。
こういった問題は日本全国で深刻化しており、管理されていない土地や建物に対して、減税措置を解除する法案が施行されています。
固定資産税の減税を受けられなくなる場合もあるので、自分の所有している土地や建物が空き家状態で放置されている場合は、できるだけ早く対処しましょう。


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