よく聞く言葉「負動産」とは?処分の方法や相続放棄についてご紹介
故人から不動産を相続することになったものの、よく調べてみたら「負動産」だった、とのケースは少なくありません。
もし負動産を所有しているとどのような影響があるのか、気になる方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、負動産とは何か、相続した負動産を処分する方法や相続放棄で取得を回避する方法についてご紹介します。
▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリック ▼
売却査定フォームへ進む
負動産とはどのような不動産を指すのか
購入した当時の資産性は高かったものの、現在では価値が暴落し所有しているほうが損になるような物件を「負動産」と呼ぶことがあります。
バブル期に人気だったリゾート地の別荘やマンション、人が減って空室が増えた賃貸物件、使用するあてのない広大な農地など、エリアや購入時の状況により種類はさまざまです。
負動産とは、こうした「購入した・相続したは良いものの利益よりも損失が多い不動産」の総称になっている言葉になります。
固定資産税で出費がかさむ
負動産のリスクとは、ほとんど収入にならないにもかかわらず、出費の原因になることです。
不動産を所有していると、毎年その価値に応じた固定資産税を支払わなければなりません。
該当の不動産を活用して収益を得られている場合は、固定資産税による出費も相殺できる可能性がありますが、収益がない場合は使い道のない不動産によってお金が出て行く一方です。
建物が建っている宅地や農地の場合は軽減措置により支払額を減らせますが、まっさらな土地の場合はそうした措置を適用できません。
このため、負動産を所有していると、いずれほかの財産を食いつぶす可能性があります。
空き家の管理責任がある
取得した不動産に建物がある場合、その建物が空き家で誰も住んでいなくても、管理責任は所有者にあります。
したがって、万が一空き家が倒壊し周辺に被害が出た場合、損害賠償請求を受ける可能性が高いです。
これを防ぐためには、定期的に空き家に通って建物のメンテナンスを実施する必要があります。
管理状態の良くない空き家は特定空き家に指定され、行政による指導や強制処分の対象になる可能性があるため注意が必要です。
また、空き家がなくても、土地に生える雑草の処分なども所有者がおこなう必要があります。
草が伸びすぎてほかの方の敷地にはみ出したり、害虫や害獣の温床になったりした場合は、近隣住民からクレームが来る可能性があります。
さらに、しっかり管理されておらず人の出入りが少ない物件は放火などの標的になる場合もあるため注意しましょう。
▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリック ▼
売却査定フォームへ進む
相続した負動産を処分するには
相続した不動産がいわゆる「負動産」だった場合、損失が大きくなる前に処分するのが望ましいです。
負動産を処分する方法とは、売却、空き家バンクの活用、寄附などになります。
負動産の処分方法について、それぞれどのような手段なのか見ていきましょう。
売却で処分する
負動産を相続した場合、一般的には不動産会社に仲介を依頼して売却されます。
ただし、負動産と呼ばれる物件は個人への需要が低いため、売却期間が長引いたり、価格が下がったりすることがほとんどです。
相場よりも価格が下がる場合がありますが、早期に処分したいのであれば、不動産会社自体に買取を依頼することもできます。
不動産会社は、一見需要がほとんどないように見える物件でも活用するためのノウハウを持っていることが多いです。
そのため、通常は需要がないような負動産でも、早期に買い取ってもらえる可能性があります。
空き家バンクを活用して処分する
相続した土地に空き家がある場合、空き家バンクを活用して使用したい方に譲渡する方法もあります。
空き家バンクに登録しておけば、その物件を利用して移住したい方や交流などの用途に使いたい方とマッチングできる可能性があるでしょう。
空き家バンクは自治体主導で提供されているサービスであり、空き家対策や地方への移住促進に役立つと考えられています。
そのため、多くの自治体が取り入れていますが、すべての自治体が実施しているわけではありません。
空き家バンクに登録しようと思った際に、該当の自治体では取り扱いがない可能性もあるため、事前に制度を調べておきましょう。
寄附によって処分する
売却による処分が難しい場合、自治体、企業、個人への寄附も可能です。
利益は出ないものの、所有権を完全に手放すことで固定資産税の支払いや管理義務から解放されます。
自治体に寄附する場合は、寄附先には税金が発生しませんが、自治体がその不動産に対する使用目的を持っていないと断られる可能性があるため注意が必要です。
農地であれば農家に寄附することもできますが、受け取った方は贈与税を支払う必要があります。
また、企業に寄附する場合も、寄附を受けた企業は贈与税を支払わなければなりません。
無償の譲渡は一長一短であるため、他の手段を検討し、どうしても難しい場合の選択肢として残しておくと良いでしょう。
▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリック ▼
売却査定フォームへ進む
負動産を相続放棄するには
相続する予定の不動産が負動産であることが分かっている場合は、相続放棄によって最初から相続を回避することもできます。
相続人になるはずだった方が全員相続放棄をした場合、不動産は国庫に入るためそれ以降税金を支払う必要はありません。
ただし、管理はそれ以降も続ける必要があるため注意が必要です。
相続放棄のための手続き
相続放棄のためには、定められた期間内に手続きをおこなう必要があります。
何も手続きしないでいると単純承認となり、負動産も含めて財産をすべて相続することになってしまうため注意が必要です。
相続放棄の手続きができるのは、故人が亡くなったことを知った日から3か月以内です。
故人がもっと前に亡くなっていても、相続を知ったのが最近である場合は、その日から3か月が手続きに使える期間となります。
相続放棄の手続きでは、相続放棄申述書、故人の戸籍謄本、住民票もしくは戸籍の附票、相続放棄する方の戸籍謄本が必要です。
申述人1人あたり収入印紙代が800円、書類の郵送費用が400円、戸籍謄本の取得費用が1通450円と、手続きにはいくらかの手数料がかかります。
財産を放棄しても管理義務は残る
相続放棄で注意したいのは、負動産以外の財産もすべて相続できなくなる点です。
そのため、負動産の相続を回避するために相続放棄を選択すると、一銭も入ってこなくなります。
一方で、相続放棄をした後も財産の管理義務は相続人だった方に残ります。
つまり、財産は一切受け取れなくなるにもかかわらず、清掃や建物の修繕などはおこなわなければなりません。
相続税や固定資産税による出費はなくなるものの、管理費は引き続き必要になるため、出費は続く可能性が高いです。
完全に出費を止めるためには、売却など別の形で不動産を処分したほうが良いでしょう。
なお、相続放棄の手続きをおこなっているにもかかわらず、故人の財産の一部を消費したり処分したりした場合は、相続放棄が認められなくなります。
不動産以外の預貯金や貴金属などのすべての財産が該当するため、勝手に手を付けないようにしなければなりません。
プラスの財産を使用した場合だけでなく、ローンや借金などマイナスの財産を返済した場合も相続放棄が認められなくなります。
▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリック ▼
売却査定フォームへ進む
まとめ
現時点でほとんど需要がなく、収益性が低い不動産を負動産と呼ぶことがあります。
負動産を処分する方法は、個人への売却や不動産会社による買取、空き家バンクの活用、個人や企業、自治体への寄附などがあります。
相続前であれば相続放棄も選択できますが、相続放棄後も管理は必要なこと、財産に手を付けると放棄できない点に注意しましょう。
▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリック ▼
売却査定フォームへ進む